コーヒーの「蒸らし」って何?魔法のコーヒードームの正体

コーヒーを淹れる際、「蒸らし」という工程をご存知でしょうか?お湯を注ぐと、ふわっとコーヒー粉が膨らむ様子は、まるで魔法のようですよね。
この「コーヒードーム」と呼ばれる現象には、実は美味しいコーヒーを淹れるための科学的な秘密が隠されているんです。
今回は、この「蒸らしの科学」について、深掘りしていきましょう。
なぜ「蒸らし」が必要なの?ガスの放出と浸透
コーヒー豆は焙煎される過程で、二酸化炭素(CO2)などのガスを内部に閉じ込めています。
このガスは、コーヒーの風味を保つ上で非常に重要な役割を果たしますが、同時に抽出を妨げる要因にもなり得ます。
蒸らしの工程では、少量のお湯を粉全体に行き渡らせることで、この閉じ込められたガスを効率的に外部へ放出させます。
ガスが放出されると、コーヒー粉の粒子間に水が浸透するスペースが生まれます。
これにより、次の本格的な抽出フェーズで、お湯がコーヒー成分を均一に、そしてスムーズに引き出しやすくなるのです。
この初期のガス抜きが不十分だと、お湯が粉にムラなく浸透せず、部分的に過抽出や未抽出が生じてしまうことがあります。
コーヒードームが教えてくれること
蒸らしでお湯を注いだ際に、コーヒー粉がモコモコと膨らんでできるのが「コーヒードーム」です。
このドームが美しく、均一に膨らむのは、コーヒー粉全体から均等にガスが放出され、お湯がしっかり浸透している証拠。
新鮮なコーヒー豆ほど多くのガスを含んでいるため、見事なコーヒードームが形成されやすい傾向にあります。
逆に、ドームがほとんど膨らまなかったり、一部だけしか膨らまない場合は、豆の鮮度が落ちていたり、お湯の注ぎ方が適切でない可能性を示唆しています。
このコーヒードームの様子を観察することで、その日の豆の状態や抽出の成否をある程度判断できる、いわば「コーヒーからのメッセージ」でもあるのです。
蒸らしの科学を最大限に活かすポイント
蒸らしの工程は、ただお湯を注ぐだけではありません。
いくつかのポイントを押さえることで、さらにその効果を高めることができます。
- **湯量と温度:** 粉全体が湿る程度の少量のお湯(粉の約2〜3倍量)を、90〜96℃程度の適温でゆっくりと均一に注ぎます。
- **時間:** 20〜40秒程度が目安ですが、豆の鮮度や焙煎度合いによって調整します。
新鮮な豆や深煎りの豆はガスが多いため、長めに蒸らすと良いでしょう。 - **注ぎ方:** ドリップケトルを使い、中心から「の」の字を描くように、あるいは外側から内側へ円を描くように、ゆっくりと粉全体に均一にお湯を行き渡らせるのが理想です。
蒸らしを制する者はコーヒーを制す!
蒸らしは、コーヒー抽出の最初の、そして最も重要なステップの一つです。
この工程を丁寧に行うことで、コーヒー豆本来のフレーバーを最大限に引き出し、雑味の少ないクリアな味わいを楽しむことができます。
ぜひ、ご自宅でのコーヒータイムに、この「蒸らしの科学」を意識してみてください。
まとめ:美味しい一杯は「蒸らし」から

いかがでしたでしょうか?普段何気なく行っていた「蒸らし」には、コーヒーの美味しさを引き出すための奥深い科学が詰まっていることがお分かりいただけたかと思います。
美しいコーヒードームは、新鮮な豆と丁寧な抽出の証。
ぜひ、今日のコーヒーから、この小さな魔法に注目してみてください。
きっと、いつもの一杯がさらに特別なものになるはずですよ。
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